保護者と向き合い 考え 育む 子どもたちの五日制
(アンケート集計結果及び考察)
平成14(2002)年9月26日
山梨県教育研究所
教育問題研究委員会
1.はじめに
県内公立小中学校の教職員の方々によって自主的・主体的に運営する「山梨県教育研究所(構成団体:県校長会・県教頭会・山教組・県退教)」では、県内の公立小中学校へ子どもを通わせています保護者の皆様(約65000名)を対象にこの6月下旬よりアンケート調査を実施させていただきました。
このアンケート調査は、社会学的な手法で統計的に調査する各種調査とは異なり、全県の保護者の皆様と五日制や教育諸課題について、このアンケートをひとつのきっかけとし、保護者と教職員でお互いに向き合い、子どもたちのために育んでいくきっかけになってほしいと願い、実施しました。
約54000名の保護者の皆様(回収率約83%)からアンケートにお答えいただきました。本教育研究所教育問題研究委員会では、この調査結果及び考察を五日制や教育諸課題を考えていく始まりの第一歩ととらえ、今後、各種の他調査の集計結果などと比較しながら研究をつづけていきたいと考えています。
なお、本調査実施にあたっては、実施時期が各種の調査と重なった学校もあり、学校及び保護者の皆様にご負担をおかけしましたこと、また各設問の回答選択が一つの指定であったため、ご回答いただく保護者の皆様の視点から不十分な点があったことをお詫びいたします。
山梨県教育研究所としてはお寄せいただきました約54000名もの保護者の皆様の思いや願いを各学校において真摯に受け止めていただくことをお願いし、保護者の皆様の温かいご支援によって「家庭と学校」「保護者と教職員」のパートナーシップが一層深まり、「子どもたち」のための開かれた教育改革実践がこの山梨において高まることを期待いたします。
最後になりましたが、本調査の実施にあたり、ご協力いただきました保護者の皆様、教職員の皆様、また各地区において学校集計をとりまとめて下さいました各地区教育協議会事務局の皆様方に厚くお礼申し上げます。
2.調査の対象
山梨県内の公立小中学校へ在籍する児童・生徒の保護者とし、同一校に兄弟姉妹が在籍する場合は、いわゆる家庭数としました。但し、小中学校にまたがる家庭数においては、それぞれの小中学校分の家庭数にカウントしました。
3.調査実施の時期 平成14(2002)年6月下旬から7月中旬頃
4.調査方法
県内公立小中学校を通して、保護者の皆様にお願いし、質問紙法(山梨県教育研究所作成)により実施しました。
5.調査対象者数及び回答者数等の割合
| 小学校 | 中学校 | 合 計 | |
| 調査対象者数 | 40252 名 | 24801 名 | 65053 名 |
| 回答者数 | 34092 名 | 20124 名 | 54216 名 |
| 回答者数の割合 | 84.6 % | 81.1 % | 83.3% |
6.その他
各問いの合計数は、「複数回答」や「未記入」もあったため調査対象者数の合計数とは一致していません。
問2以降の設問において「その他」をご回答いただき、併せて「自由記述」の頁で書いていただいたものについては掲載してありませんがご了解下さい。
【小中学校合算集計】
1.あなたは「完全学校週五日制」についてどのように思いますか。

| ア | 8951名 |
| イ | 18239名 |
| ウ | 25764名 |
○完全学校週五日制が導入されて、期待と不安が入り交じった結果となっています。保護者の方々も確定的な判断を決めかねている現状であり、慎重な姿勢だと考えられます。
2.「完全学校週五日制」の実施に関して、どのような点に期待していますか。あなたの考えに最も近いと思うものを、次の中から1つお選びください。

| ア | 13821名 |
| イ | 3369名 |
| ウ | 11755名 |
| エ | 11092名 |
| オ | 1210名 |
| カ | 1643名 |
| キ | 775名 |
| ク | 10385名 |
○80%以上の保護者の方々が「完全学校五日制」の実施に関して何かしらの期待をし、前向きな意識と願いを持っていることがわかります。
○期待感をもつ保護者の多くは「地域社会」よりも「家庭」という場を中心に期待を持ち、特に子どもの多忙な生活からの解放や家族とのふれあいなどを求めていることがわかります。
3.「完全学校週五日制」の実施に関して、不安な点があるとすれば、どのような点ですか。あなたの考えに最も近いと思うものを、次の中から1つお選びください。

| ア | 19140名 |
| イ | 5987名 |
| ウ | 3329名 |
| エ | 8663名 |
| オ | 11889名 |
| カ | 794名 |
| キ | 1259名 |
| ク | 3062名 |
○「ア 学校で学習する時間や内容が減ること。」が最も多いですが、「五日制=学習内容・学習時 間の削減」というとらえを三割強の保護者の方々がしていることがわかります。これは、五日制実 施以前よりの「学力低下論」による影響が大きかったと予想されます。
学校は五日制の本来の主旨を保護者に理解していただけるように今後も伝えていく必要があると思 います。
○「オ 子どもが目的もなく過ごす時間が増えること」にも不安が集まりました。問2の回答に見ら れますように「子どもたちへゆとり」を期待しながらも、「テレビゲーム」や「テレビ」中心の過 ごし方になってしまわないかと不安をもっていると考えられます。
4.お子さんが通っている学校に対して、期待することは何ですか。あなたの考えに近いと思うものを、次の中から1つお選びください。

| ア | 30094名 |
| イ | 7646名 |
| ウ | 9696名 |
| エ | 2297名 |
| オ | 1976名 |
| カ | 548名 |
| キ | 471名 |
| ク | 661名 |
○子どもの通う「公立小中学校」への保護者の期待は、現在の教育世論の中にあっても予想以上に高い結果となっています。この結果を各学校ではどう受け止めて、具体的にどのような取り組みを重 ねていくかが課題といえます。
○「ア 子どもが笑顔で通える学校であってほしい」について、約30000名の保護者からの回答がありました。これは、保護者の視点から見て今通っている学校での子どもたちの生活が安定したものになっている場合と、反対に現状がそうでないので切望している場合とに二分されるかもしれません。多くの保護者の方々は、「豊かで楽しい学校」を山梨の学校教育に期待しているといえます。
5.お子さんの教育・子育てで、心配なことは何ですか。あなたの考えに近いと思うものを、次の中 から1つお選びください。

| ア | 6115名 |
| イ | 1102名 |
| ウ | 4835名 |
| エ | 10091名 |
| オ | 15661名 |
| カ | 11652名 |
| キ | 1084名 |
| ク | 3232名 |
○「友だち関係」「生活態度・しつけ」「受験・進路」などが上位を占めましたが、小中学校別の比較(別頁)では、本調査において唯一、小中学校による違いが見られた項目となりました。小学校では「友だち関係」、中学校では「受験・進路」がそれぞれトップでした。この結果は、それぞれの発達段階で抱える切実な課題を表していると考えられます。
6.現在、子どもや教育に関してさまざまな問題がありますが、その原因は何だと思いますか。あなたの考えに近いと思うものを、次の中から1つお選びください。

| ア | 2861名 |
| イ | 1030名 |
| ウ | 9100名 |
| エ | 7388名 |
| オ | 13031名 |
| カ | 9914名 |
| キ | 6392名 |
| ク | 1588名 |
| ケ | 2499名 |
○「ア」の学校の教育力に対する回答よりも「ウ」の家庭の教育力の方に問題を感じている保護者の方々が多かったことは、学校教育への期待が持てないことなのか、むしろ「家庭の問題」として捉えているのか判断は難しいところですが、冷静な回答と見ることができると思います。
○特に中学生になると、親の指導を受け入れられなくなっていますが、この実感は親としても痛烈に感じているに違いありません。この原因について、「オ」の回答のように社会規範の乱れからの影 響も考えられます。昨今のマスコミ、テレビ、雑誌、インターネットなどの影響は計り知れません。 家庭や学校の教育よりもはるかに強く「教育力」を発揮してしまっていると思います。
○「カ」の人間関係の希薄化を回答している保護者が多いです。これも冷静に見ていることの表れだと思いますが、社会規範が乱れている中では、より家庭・地域・学校が強く連携して、同年令、異年令にかかわらず、子どもたちのつながりを育てる活動をしくむことが必要ではないでしょうか。
各マスコミ報道発表後の教育研究所の思い